外科的領域に踏み込むインプラント治療には抵抗がある方も少なくないかもしれません。
その一方でインプラントによって快適な日常を取り戻した方々も大勢いらっしゃいます。
ここでは実際に治療をさせていただいた患者様の生の声をご紹介します。
上の前歯(一番前の右)がぐらついています。35年前にぶつけて、根っこの部分が折れていますが、日常生活は困らなかったので、そのままにしてきました。30年ぐらいの間ははわずかにぐらつくぐらいで、ここ数年次第にぐらつきがおおきくなってきました。インプラントによる治療に関心があり、数点お聞きしたいと思います。
1 治療の方法、期間
・一回法、二回法とあるようですが、どのような方法ですか。
・インプラントの材
・かぶせる歯の素材
・治療の期間
・仮歯をいれるとすると、どういう方法があるのか
・上の前歯の一番前の左(隣の歯)も折ったので削って被せていますが、治療に影響を与えるでしょうか。
・現在46歳ですが、骨の量、厚さが治療に影響を与えると聞きましたが、前歯もそうでしょうか。増量の方法
・麻酔の有無
2 治療費の内訳
・インプラント
・白い歯を被せた場合(セラミック?)
・仮歯
・骨の増量
・麻酔
・その他
まず、1回法と2回法ですが、インプラントは骨の高さ、骨のラインに合わせて埋入します。通常は、2回法で骨の高さまでインプラントを埋めて開いた歯肉を元に戻して縫合します。インプラントは歯肉の下に入っていて、そのまま治癒期間(骨とインプラントが結合する期間)の間は、歯肉の下に入っています。ですので、治癒期間終了後2次オペといって歯肉だけを切ってヒーリングアバットメントをインプラントに装着するとヒーリングアバットメントがお口の中に出ている状態になり、それから型どりをして上の歯をつくっていきます。1回法は、インプラントを埋めるのと同時にヒーリングアバットメントを装着する方法で、歯肉を元に戻す時、ヒーリングアバットメントを歯肉の上に出して縫合します。この方法の場合は、2次オペは必要ありません。1回法、2回法というのは、患者様のお口の中の状態によって選択します。
インプラントの材料は、現在ほぼすべてのインプラントシステムで純チタンを使用しています。これは、骨の細胞と結合する組織親和性の高い材料です。
被せる歯の素材は、セラミックスのかぶせものが一般的で、前歯の場合はこちらになると思います。
治療期間は、上顎ですので骨の状態にもよりますが、歯が入るまで6ヶ月〜8ヶ月です。仮歯はプラスチックの歯を両サイドの歯に強い接着剤でくっつける方法をとることになると思います。隣の歯を被せているようですが、基本的に影響はありません。
骨の量、厚さについては、歯根が折れているという事で骨の量が少なくなっている可能性があります。造る骨の量が少ない場合は、G・B・Rという方法で骨の量を増やします。これは、人工骨かもしくは自分の骨(下顎の親知らずが生えるところの近くから採取)を足りないところに足して、その上から膜で固定する方法です。造る骨の量が多い場合は、自分の骨をブロック状で採ってきて(採取する場所はG・B・Rと同じところです)骨をスクリューで固定して骨を増やします。また、両方のテクニックを同時に使う場合もあります。
麻酔については、局所麻酔(お口の中の麻酔)だけでも大丈夫ですが、全身的な問題がある方や恐怖感の強い方、オペ時間のかかる方については局所麻酔に加えて静脈内鎮静法を併用します。